玄界灘に浮かぶ離島として、壱岐島と合わせて忘れてはいけないのが、対馬。北方領土を除いた日本の離島の中では佐渡島、奄美大島に次いで3番目の大きさを誇り、国境の島として知られています。
国境の島であるがゆえ、お隣の韓国からの観光客が多いそうですが、日本人の中では観光地としてそこまで知られていないのではないでしょうか。
2年前の2018年、「国境」というワードに惹かれて旅行を決めましたが、他の人気な離島と違って、対馬を扱っている書籍やwebサイトが非常に少なかったのが印象的でした。
実際に行ってみると、食事を取りながら日本語で話しているだけで、「日本人ですか?働いてるんですか?え!?観光しにきたんですか!?!?」と大変驚かれるという…(笑)。
日本人観光客がこんなに珍しがられるのは、日本国内では初めての経験。
そこで今回は、事前に調べたことや現地で学んだことから、いったい対馬はどんなところなのか、アクセスと見どころを簡単に紹介します!
激動の歴史と心の底から癒される絶景を体験して、とても実りのある旅だったので、この記事を読んで皆さんにも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
どこにあるの?
対馬は韓国と九州の間に位置する、長崎県に属する島です。メインは対馬島でその周囲には100を超える有人・無人島が存在しています。
九州本土までの距離はおよそ130 kmもあるのに対して、国境を挟んで朝鮮半島までの距離はおよそ50 km。なんと、韓国の方が近いんです。まさに国境の島!
何があるの?見どころは?
国境の島として歩んできた激動の歴史
観光ではあまり馴染みがないかもしれない対馬。実は歴史の教科書にたびたび登場していたんです。
それもそのはず。地図を見てみると、今でこそ首都東京からは日本の端っこに見えますが、東アジア諸国からしたら日本の西の玄関口のような存在だったからです。
そのため、古くから交通の要衝として、大陸との文化交流の架け橋になっただけでなく、もちろん国防の要としての重要な役割も果たしてきました。
古くは魏志『倭人伝』に登場。律令制度が整えられた後、厳原に国府が置かれ、遣隋使や遣唐使派遣の際は、壱岐と合わせて必ず対馬に寄港することに(つまり小野妹子もここを経由したということですね…なんか、アツい!)。
663年の白村江の戦いに敗れた後は国防を強化するために防人を配置。また、国境要塞として金田城を築城。
中世では元寇の襲来で壊滅的な被害を被ったり、その反動で倭寇の活動の拠点になったり、近隣諸国との緊張関係の影響を受けるように。その後江戸時代では対馬藩に朝鮮半島との外交が一任され、朝鮮通信使の派遣などを通し、平和外交に努めました。
明治期には、列強の侵攻に対抗するため、軍事の要衝であった対馬の要塞化が進むことに。実際、日露戦争で日本の勝利にとって重要な海戦であった日本海海戦は、海外ではBattle of Tsushimaと呼ばれています。ロシアは不凍港として対馬の港も狙っていたとか。
ちなみに、要塞に作られた数々の砲台は使用されることなく、第二次世界大戦敗戦後、連合国軍により爆破されてしまったそうです。
ほんの一部をかいつまんで説明するだけで、歴史の授業で習ったような単語がたくさん(笑)。そのくらい日本の歴史を長い間ずっと支えてきた島なんですね。
長い間緊張状態の最前線にいたことで元寇では壊滅的な被害を受けましたが、実は、戦国時代以降は一度も戦場になったことがなく、さまざまな資料が現在まで残っているそうです。
だから対馬に行くだけで、古代から第二次世界大戦後まで、日本の国防や隣国との協調がどのように図られてきたのか、歴史に触れながら学び、体感することができるんです。
海から山まで豊かな自然。エコツアーの参加も◎
もちろん島と言えば自然もかかせませんよね。対馬では、カヤックやスキューバダイビングなど海のアクティビティも、トレッキングなど山のアクティビティも、どちらも楽しめます。
面積の9割近くを山地が占め、自然崇拝の信仰により、多くの原生林への立ち入りや木々の伐採が禁じられていたため、四季折々さまざまな固有の植物を楽しみながら、島の美しい景観を堪能しつつ、トレッキングできる山がたくさん!
詳細のトレッキングルートについては下記のリンクを参考にしてみてください。
また、対馬ならではのマリンアクティビティでおすすめなのがカヤック!
100を超える無人島のある対馬では、橋などで渡ることのできない島へ、自分でカヤックをこいで上陸するカヤックツアーがあるんです。
ただカヤックをこぐだけではなく、同時に地形のことから対馬の歴史まで、さまざまな解説を通して対馬学を楽しめるツアーです。
波の音や鳥のさえずりを聞きながら、無人島に向かって誰もいない海を進んでいく感覚は、日常の喧騒から離れて日ごろの疲れをリセットするのに最適。目の前に見えてくる自然にとにかく癒されます。
エコツアーの詳細はこちらから!
どうやって行くの?
壱岐島と同じように、船・飛行機の2通りのアクセスがあります。
船でのアクセス
船で行く場合、福岡県・博多港から出発。カーフェリーが厳原港(壱岐経由)と比田勝港まで、高速船が厳原港(壱岐経由)まで就航しています。
出発港 | 種類 | 到着港 | 便数(1日) | 片道運賃 | 所要時間 |
博多 | カーフェリー | 厳原港 | 2往復 | 2等4,190円~ | 4時間40分 |
博多 | 高速船 | 厳原港 | 2往復 | 7,250円~ | 2時間15分 |
博多 | カーフェリー | 比田勝 | 1往復 | 5,030円 | 5時間50分 |
予約方法
九州郵船の予約は、電話かインターネット(高速船のみ)から行えます。出発の1か月前から受付開始。
電話予約の場合、予約番号を口頭で言われるので、手元にメモを用意しておきましょう。
事前の運行状況チェックがおすすめ!
フェリーや高速船は風と波の影響を受けるため、「九州のりものinfo.com」にて自分の予約便の運航状況のチェックをおすすめします。
万が一欠航しても、九州郵船に電話すれば、その場で他便への振替できます!
飛行機でのアクセス
飛行機の場合は、福岡空港から1日5往復、ANA(一部オリエンタルブリッジと共同運航)便が利用できます。所要時間は約35分。
番外編:韓国からのアクセス!?
実は対馬、日本からだけでなく、お隣の韓国・釜山から高速船の運航がありました。
しかし、昨年2019年夏ごろからの日韓関係悪化に伴い韓国からの来訪者数が激減、運休になってしまいました…。現在も新型コロナウイルスの影響で引き続き運休中とのこと。
いつかは福岡から対馬に行き、そこから釜山へ渡る、という旅をしてみたいな。
まずは日韓関係の改善と新型コロナウイルスの終息、心から願っています。
魅惑あふれる国境の島へ!
以上、激動の歴史と絶景の詰まった対馬の紹介でした。
なかなかガイドブックがないので旅行先に選ぶきっかけがなかった人にも、この記事を読んでもらって対馬の魅力を伝えられたらいいなと思います。
現在長崎県では県外からの旅行は推奨していないため、引き続き不要な外出を控え、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努める必要がありますが、また島の受け入れ態勢が整ったら、ぜひまた遊びに行きたいです。
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